雑談室 2005年8月~9月


 岩手、秋田温泉めぐり 玉川温泉、鉛温泉他 (2005.8.8)

 大学時代の共同研究者、伊藤宏君 (この傑出した人物については、改めて紹介したい) の誘いがあり、岩手、秋田の温泉めぐりをした。温泉三昧というより、温泉のはしごと言った方が良い三日間の強行スケジュールは以下の通り。
一日目 盛岡で合流→八幡平の藤七温泉(入浴)→後生掛温泉(入浴)→玉川温泉泊(内風呂2回)
二日目 玉川温泉(内風呂、露天風呂)→田沢湖→国見温泉(内風呂、露天風呂)→花巻大沢温泉(露天風呂)→鉛温泉(入浴3回)
三日目 鉛温泉(入浴2回)→高村光太郎記念館→仙台→彼は東京へ
 走行距離650km、総入浴回数14回と何とも呆れた湯治旅であった。昔、一泊で13回入浴と言う記録を作った事もある私だが、今回は正直なところ疲れた。疲れを知らぬ伊藤君 (運転していないから当然) は私より2回ほど入浴回数が多いと思う。おまけに帰京してから更に銭湯に行ったという豪傑である。

 秋田県、玉川温泉は癌、リュウマチ、脳梗塞後遺症、その他の難病に効くと言う万能温泉で、その上日本一、ひょっとすると世界一かも知れぬpH1.2と言う強酸性の湯でも有名である。そのpH1.2、源泉100%と言う湯に恐る恐る浸かってみると、40℃前後の割と温い湯のためか案外簡単に入れる。しかし、数分で傷跡がヒリヒリし始め、3分を経過すると体のデリケートな部分が疼きはじめる。ヒリヒリなんてものではない。ビリビリ果てはズキズキと痛みに変わり、我慢できずに飛び出して洗い流さないではいられない。

 飲用療法もあり、試飲してみるも推奨の10倍どころか20倍に希釈しても不味くて飲めたものではない。口に含むと歯のエナメル質が解けるから、必ずうがいをするようにとの注意書きまである。とにかく常識外れで療養効果も抜群であるらしい。湯治の人たちの真剣な入浴を見ていると物見遊山で行くべきところでは無いと痛感する。廊下ですれ違う多くの人は挨拶を交わし、他では見られない連帯感のようなものを感じた。

 自然研究路を10分ほど行くと露天風呂がある。温泉旅館の露天風呂ではなく、遮る物が何も無い豪快原始的な露天風呂で、脱衣所も棚があるだけ、当然男も女もない。この野趣溢れた風呂にどうしても入りたいと思ったが、白日の下に裸体をさらす勇気も無く翌早朝薄明かりの中で飛び込んだ。こちらは硫黄泉の弱アルカリで、硫黄臭と湯の花に包まれ山の湯を満喫する事ができ、実に気分が良い。
 ここは半年前に予約で塞がってしまうとのこと、伊藤君がうまく予約を入れてくれたお陰で貴重な体験をした。山間の静かな涼しい地、避暑のつもりもあったのに、今年最高に暑い日で室内温度は31℃、当然冷房も無い宿では寝苦しくて参った。おそらく一年で数日なのであろう。冬場は道路が閉鎖され、雪上車で湯治客を送迎すると言う。

 花巻の鉛温泉藤三旅館 (トウサンではない。フジサンと読む) は十年ほど昔、仕事で泊まったことがある。あまり好印象ではなく、今回彼が予約した一泊二食オール込みで5,000円と言う値段には思わず二の足を踏んだが、食事付きの自炊部、要するに湯治専用の客室で、これまた得がたい経験だった。窓は木製、木枠に網戸、正に昭和30年代の雰囲気で懐かしく、料理も値段にすれば十分、寝具も清潔で値段から想像していた不快感は全く無い。おまけに団体客のどんちゃん騒ぎもカラオケの騒音も無く、湯治場独特の静けさも味わえた。
 その静寂を破るのは窓下を流れる川の轟音、そして高歌放吟する無頼の中年男二人、そう我々です。川の音にかき消されるから、まあ良いか、と言うところでグリークラブOBの伊藤君の歌声に思わず合わせてしまう私でした。30年も歌った事の無い曲でも、一応ハモるのがすごい。その演奏?も動画で記録したが、公開するのは見合わせたい。- 私にも立場があるから。

 帰宅後、肌に発疹が少し出てきた。肌が負けたのか非科学的表現ながら毒素が出てきたのか良くわからない。そういえば、この4日間平均5時間程しか眠っていない割りには元気で、慢性の腰痛も確実にに軽減している。7つも温泉をはしごしたので、どこの温泉の効果か判別できないのは困った事だ。
八幡平、アスピーテラインより

天気が良く、最高の展望に恵まれた。しかし、暑い。
昔5月の連休に来たときは、両側の雪の壁しか見えなかった。
藤七温泉
東北最高の標高地点にある温泉

彼は露天風呂に入っているとき、アブに頭(指示部)を刺された。
隣でどうしようか考えていた。
ぶん殴ろうかと思ったが、30年前と違い今はかなり偉くなっているので、止めておいた。
そのうち血が出てきた。

「アブハ、チトラズ」と言うのは、嘘だと知った。
実を言うと蜂かアブか判別できず、蜂を刺激して逆襲されたら困るので、ひっぱたくのを躊躇していた。
後生掛温泉

ブナの原生林の中にある。
デジカメ、携帯、ビール、彼の必須アイテム。
暑さにめげず、動き回るのには頭が下がる。

ここの泥湯は、浴槽の中に泥が入っており、独特の感触がある。普通なら気持ち悪いと思うだろう。
後生掛温泉 箱蒸し

さらし首はこんな感じか?
この苦悶の表情は、首を切られて痛かったためではない。
単に暑いだけ
この表情は演技ではありません。念のため。
玉川温泉

野趣満々で豪快な露天風呂。うら若きお嬢さんも通るから、白日下に入る勇気は無い。眺めていると、いきなり立ち上がるおっさんもいて困る。
奥のテントの中、その近くで寝そべっているのは岩盤からわずかに放出されるラジウムの放射線を浴びている人々。
癌には格段に効くらしい。痩せている人が多く、じろじろ見るのははばかられる。

写真奥黄色になっているのは硫黄の析出物。
硫化水素が流れてくる可能性もあるから、多少注意は必要だ。過去に死者も出ている。



Copyright©2005 Hiroshi
寝姿2態 この写真を撮ったら、
Copyright©2005 Hiroshi 敵を討たれた とにかく暑くて寝苦しい。

寝付けず、夜中に駐車場で大の字になって寝転び、満天の星を眺め、夜明け前から露天風呂に行き、寝付いたのは午前5時。
玉川温泉

98℃、毎分9立米(日本一)の噴出量を誇る源泉-大噴と言うらしい。
標高750mで98℃になるはずが無いと思い、放射温度計を持参した。
やはり表面は88℃が最高だった。ほぼ計算が合う。
噴出する直前は98℃になっているのだろう。

傍にいても暑く、沸騰しながら吹き上がって来る迫力は、他では見られない。
源泉100%、高温、効果抜群の温泉のはずなのに、誰も入らない。ちょっと熱そうだ。



Copyright©2005 Hiroshi
国見温泉 露天風呂

岩手、秋田県境付近にある。バスの便は無く車か歩きで来るしかない。
混浴露天風呂で初めてご婦人とご一緒した。
かえって気を使ってしまうものです。

湯は正に入浴剤を入れた色。
独特の懐かしい匂いもする。
大沢温泉露天風呂
20年ほど昔、花巻に仕事で来ていたときは定宿にしていた所。
桜の花びらが乱舞する春、落ち葉が舞い落ちる秋、しんしんと雪が降る冬、何とも言えぬ風情がある。

旅館部は新装されたが、湯治用の自炊部は何も変わっていなかった。
延々と続く廊下をギシギシさせながら、熟睡している湯治客を起こさないようそっと露天風呂まで行った。
冬など部屋に帰るまでに冷えてしまうので、途中にある内風呂に入りなおさねばならなかった。
昔は完全混浴で、先客に遠慮して戻ろうとしたら、「いいのよ~」なんて言われた事もある。
現在、露天だけ混浴、水着やタオルを着けて入浴してはならないと注意書きがあった。常識でしょ。
鉛温泉藤七旅館
右棟の一階、左から二番目の部屋に泊まった。
シーズンオフに泊り客が一人だったら、ちょっと怖い。
風呂は4箇所あり、その時の気分で選べる。河原に降りられそうな露天が気持ち良い。
深さ1.3m位の深い風呂もあり、初めての時それを知らずに入ったところ、いつまでも足が着かず底が無いのではと思えて慌てた。
弱アルカリで肌はツルツルになる。
6畳の湯治部屋での相棒。
何故か寅さんを連想してしまう。
左の板戸の外には格子戸があり鍵は無い。
そこで考えた。スリッパを2足持ってきて、格子戸の内側に置き、テレビを付けて風呂に行った。
「おまえ、頭いいねえ」
「おう、大学出ているからな」

注:お互いに成績も卒業前後のドタバタも熟知しているので大いに笑える。

このトリック、部屋にいるときスリッパが4足になってしまうのが欠点。

東八幡平リゾートホテル
昼食はハヤシライスだったっけ?
後生掛温泉 露天風呂 後生掛温泉 内風呂
後生掛温泉 駐車場
後ろは原生林
玉川温泉 大噴  放射温度計持参
誰も持っていなかった。(あたりまえ)
玉川温泉自然探求路
玉川温泉露天風呂
無色透明の湯でなくて良かった。
国見温泉
暑そうです
花巻大沢温泉 
自炊部入り口
花巻 大沢温泉 露天風呂
屈折率を考え水面との角度設定が難しい。
花巻 鉛温泉 藤三旅館 
木造三階建て、千と千尋の世界。中は結構近代的でエレベータもある。
一泊5,000円の朝食
悪くない。しかも部屋食
藤三旅館 自炊設備 木の箱はガスの自動販売機。 藤三旅館 自炊部  夜はちょっと怖い 部屋にて
自炊部玄関
シャッター落ちたかな、と言う表情
高村光太郎記念館前
脇に居た受付のおばさんに長々と話しかけられた。
光太郎さんが使った厠を覗く
使用ご遠慮くださいと書かれていた恐れ多くて使えない。
伊藤氏近影 その1 伊藤氏近影 その2